リン酸処理とその方法について
リン酸処理とは、金属の表面をリン酸亜鉛などで処理したものです。
溶融亜鉛めっきよりも重厚感が出せることが特徴です。経年変化により味わいが出ます。防錆性や耐食性があり、メンテナンスフリーの素材です。低コストなのも魅力です。
自動車の部品やビルの壁面などに用いられます。工程は脱脂→水洗→表面調整→皮膜化成(リン酸亜鉛)→水洗の順に行います。
リン酸処理には種類がある
リン酸処理の種類には、リン酸亜鉛処理、リン酸カルシウム処理、リン酸鉄処理、リン酸マンガン処理などがあります。
リン酸亜鉛処理は、リン酸と亜鉛を含む処理液を用います。皮膜はリン酸亜鉛(ホパイト)、リン酸亜鉛鉄(フォスフォフィライト)などからなります。処理温度は60℃以下です。
リン酸カルシウム処理は、リン酸と亜鉛、カルシウムを含む処理液を用います。皮膜は、リン酸亜鉛、リン酸亜鉛鉄、リン酸亜鉛カルシウム(ショルツァイト)です。処理温度は80℃~90℃です。リン酸亜鉛処理よりも耐熱性があります。
リン酸鉄処理は、リン酸を含む処理液を用い、リン酸鉄のアモルファス(非晶質)を表面に生成します。皮膜はリン酸鉄です。皮膜が他の処理と比べ1μm以下と薄く耐食性が劣ります。コストが安いです。
リン酸マンガン処理は、リン酸とマンガンを含む処理液を用います。皮膜はリン酸マンガン(ヒューリオライト)です。処理温度は80℃~90℃で5~30分です。皮膜が厚く(5~15μm)耐久性があります。
リン酸処理には消泡剤が必要
リン酸処理には消泡剤が必要です。消泡剤にはシリコーン系消泡剤、有機系消泡剤などがあります。
溶液の表面張力を減らし発生する泡を取り除き、均一な表面に加工するために用いられます。
リン酸処理とは、鋼の表面に不溶性の被膜を作り、腐食を抑える処理です。仕上げとしてだけでなく、下処理として行われることもあります。